不動産ドクター洲浜塾(3):今スグ延滞した家賃を回収する施策3選

地域で一番お客様から選ばれる不動産会社になるための学び

不動産ドクター洲浜拓志の『洲浜塾』

≪洲浜塾第3回≫

-家賃ちゃんと貰ってる?-

今スグ延滞した家賃を回収する施策3選

空室対策や大規模修繕対策と同様の重要テーマ、家賃回収

こんにちは。不動産ドクター洲浜です。アパートやマンションを管理する不動産会社にとって、[守り]の部分で最も重要なのは家賃の回収です。これは、空室対策や大規模修繕対策と同様、重要テーマです。今回は、滞納を発生させずきっちりと家賃を回収するためのステップを体系的にまとめてみました。参考にしてみてくださいね。

今スグ延滞した家賃を回収する施策3選

1.私のアパートで起きた家賃滞納の実話

<実際にあったこと>

  • 私はアパート経営をして8年目にして初めて家賃滞納の常習犯に出くわしました。
  • いつもは月末に、家賃回収専用口座の通帳を記帳するのですが、たまたま忙しくて入金チェックを3か月怠ってしまったのです。
  • 気が付いたら入居1年の会社員が、隔月ペースで家賃の滞納をし始め、累積5か月の家賃滞納をしていました。
  • 本人に連絡を取り、直接呼び出して面談したところ、『離婚して、子供の養育費が必要。その子の私立大学の入学金で、100万円相当の預金がなくなった』とのことでした。
  • 話合いの結果、何とか期限を決めて家賃回収を解決するような話となりました。

この人は、入居する際に、ちょっとした手違いで保証会社に契約できず、問題はあると思っていました。今は年金暮らしのお父様を保証人に入れています。持ち家もあり、ローンの完済していることが登記簿謄本を見てわかったので。とりあえず本人の決意表明を信用して延滞金の入金を2カ月待ちました。

個別に面談して個人的な家庭の事情を聴かされると、こちらも弱ってしまいますね。手違いで保証会社の審査が通らず、父の保証人のみで対応してきたことがシクジリ大家としての反省です。

2.一度滞納したら雪だるま。常習犯は治らない?

なぜ、収入はあるのに、家賃滞納をしてしまうのか。滞納者の生活行動を分析すると、その理由が分かります。現代人の必須アイテムである携帯電話やスマホ料金は、人と関わって生きるためには最も優先順位が高いのです。しかも支払う料金は生活費の中でも家賃に次いで高額です。そして、優先順位は、携帯代の次に水道、ガス、電気代という順になりそうです。

家賃は、1月くらい遅れても、すぐに家が使えなくなるわけではないので、これらに比べたら優先順位が低いと考えて行動してしまうのです。よっぽど生活の行動パターンを変えるとか、大口の入金でもない限り、滞納するクセはなかなか改善できません。

3.家賃滞納を解決する法的手続きとは?

この家賃滞納者のような約束の金を払わない常習犯がいるのは世の常です。もちろん、大家さんが家賃未収で泣き寝入りしないための法律はあります。ここでは、その手続きについてステップにしてまとめました。

Step1:最初は契約解除を申し入れる

個別の賃貸契約書によって異なりますが、一般的には、『2ヶ月以上の滞納があったら契約解除』などの条件を入れているケースが多く見受けられます。だから、家賃の滞納を契約違反として大家さんから契約解除して、立ち退きを求める事ができるため、現実的な話し合いをします。

Step2:立ち退き訴訟の裁判へ進む

話し合いによる立ち退きができなければ、裁判で決着することになります。日本の法律(借地借家違法など)では、借主は大家さんに比べて弱者であるという前提で保護されています。ですから、生活の基盤を取り上げるような強制退去が認められるためには、単なる契約違反というだけではなく、「借主は家賃も払わずひどい奴だ、同情の余地はない」となるような事実が必要です。

ですから、立ち退き訴訟には、1ヶ月や2ヶ月で即退去とは認められません。実際には民間賃貸で一般的な翌月分前払い家賃の場合、4ヶ月分を超えた時が判断基準となる場合が多いようです。当月家賃として3ヶ月以上の滞納があった時、内容証明郵便による督促など一定の請求を行っても滞納が解消されない場合、証拠を揃えて賃貸借契約の解除を借主に通告し、同時に立ち退きを求める訴訟を起こすことになります。そこから和解、調停または判決を経ることになります。

Step3:裁判の判決が出る。それでも退去しない時~最終手段は強制的に執行

裁判の判決が出たのに、借主が従わない時は、大家さんは裁判所に判決の強制執行を申し立てします。裁判所側の決めた執行官は、借主に対して『●月●日、強制執行しますよ』と通告し、その書面を室内に掲示します。借主がその日時までに退去しなければ、執行官の立会いのもとで室内にある借主の所持品の全てを執行官の指定する場所に移動します。大家さんは、強制執行による退去が完了した事を確認して鍵を交換、戸締りして強制退去が完了します。

以上のように、Step1~3を踏めば、滞納者を退去させることは可能なのです。

しかし、よく考えてみてください。

実務的には訴訟を起こしてから終了まで、およそ半年以上かかります。また、滞納家賃、訴訟費用、家財の移動や処分など、借主の支払うべきものを貸主が支払いまたは立て替える事になります。しかも、その立て替えたお金の回収は難しく大きな負担となります。法的には守られてはいますが、経済的な損失、さらに精神的なダメージは計り知れないものですね。

できればこんな苦労もせず、家賃回収できる方法はないものか?それは最後にまとめて、素人でもできる簡単な家賃回収策を以下にご紹介します。その前に、家賃回収に関する関係者をまとめて整理しておきましょう。

4.保証人について

入居するときの審査で、通常は現役で働いている会社員を保証人になってもらいます。保証人とは、民法の「連帯保証人」と違う点があります。より強烈に保証したい場合には連帯保証人とします。(連帯保証人は、借主と同等の支払い義務があります。保証人は「借主へ請求してくれ」と突っぱねることができます)

(1)入居者が学生の場合

親が保証人となります。親は何よりも子供の生活費を応援します。親は正社員で固定収入があることが要件です。また、連絡が取れるよう、親の携帯電話を聞いておくことが必須です。私も、親御さんと、入金遅れの際に、何回も携帯でお話ししました。『うちの子が本当にお世話になっています』という言葉に、胸が熱くなったこともあります。結局、学生の場合は、家賃で問題となることはありませんでした。

(2)入居者が社会人の場合

社会人の場合も親に保証人となることを依頼したいところですが、高齢でリタイヤしているケースもあります。この場合、定期収入のある会社の正社員である兄弟姉妹に保証人をお願いすることになります。

(3)入居者が生活保護者の場合

生活保護者の家賃は、市区町村から直接支払われます。本人が使い込むことはないので、むしろ回収の確実性は高いのです。

以上、保証人について述べましたが、生活保護者((3))は別として、どうしても保証人が見つからない場合があります。その時には、後述の通り、保証会社を利用します。

5.契約の内容ではっきりさせておく家賃回収策

民法では、家賃2カ月滞納すれば、退去の理由となります、ところが大家さんも入居者の方も、実際の延滞の場面を想定したり、退去の条件を明確にして契約したりしません。滞納が発生してしまってから弁護士や法律などの技術を使って問題処理することになるから大変なのです。

新規契約の時~滞納したらいつどうなるのかルールを示す~

新規契約の時に、「家賃2カ月滞納したら、解約するよ」とか、個別に解約の理由を書いておくとよいです。入居の時には、気持ちが高まっていますから、しっかり約束しても入居者が嫌がることはないでしょう。仮に嫌がる入居者の場合は、その時点で事前にマークできます。

更新の時~更新時は新規と同じくらいの手続きを行う~

更新は通常2年毎に行われますが、この間、携帯電話が変わったり、勤務先が変わったりするのは珍しいことではありません。そして同様に、保証人の連絡先や勤務先も変わったりします。この更新時期に、本人と保証人の信用にかかわる情報をまるで新規申し込みの時と同じレベルで個人情報を再度記入してもらい、チェックします。仮に更新時に無職になっていたら、どうでしょう?確かにそれだけの理由で、定期借家契約でもない限り、強制退去というわけにはいきませんが、大家さんとしては、それなりの心の準備はできます。延滞が発生してから知ったのでは遅いのです。