不動産ドクター洲浜塾(4):不動産投資(不動産賃貸事業)とは何か、そのおさえるべきポイント<その1>

地域で一番お客様から選ばれる不動産会社になるための学び

不動産ドクター洲浜拓志の『洲浜塾』

≪洲浜塾第4回≫

-分かっているようで、分かっていない方が多数!-

不動産投資(不動産賃貸事業)とは何か、そのおさえるべきポイント<その1>

アベノミクスの経済政策の目玉とされる、「日本銀行による超低金利政策」の結果、国内の銀行にはお金がジャブジャブあふれています。国内経済の資金の供給側である銀行は、その資金を、不動産市場に流してきました。東京オリンピックに好感して地価が上昇しているため、担保主義の銀行に好ましい状況なのです。

資金の需要側を見ると、法人のみならず、会社員個人も年金不安などの理由でかつてないほどの割合で不動産投資に取り組んでいます。平成27年からの相続税改正による増税も要因となっています。具体的には、資産家のみの相続税が、都心では「庶民の相続税」となり、相続税対策として、アパート建築を勧める税理士や不動産(サブリース)業者が躍起になっているのです。しかしながら、国内全体の人口減少、増加し続ける空き家などの問題があるわけですから、供給過剰な貸家市場に、新築の貸家を作り続けることは無謀です。特に地方でのアパートラッシュは不自然です。もはや、銀行の融資姿勢の方針転換があれば、バブル崩壊、リーマンショックに似た、市場経済が一変するのは時間の問題でしょう。今回は、国内の不動産投資業界を安全に持続発展させていくために、正しい不動産投資あるいは不動産賃貸事業についてお伝えしたいと思います。

不動産投資(不動産賃貸事業)とは何か、 そのおさえるべきポイント

1.日本人の投資家としての資質は?

日本は欧米諸国に比べて極めて金融や不動産のリテラシー(知識)が低いとされます。学校や会社において、不動産、金融資産、税金について学ぶ場がないからです。なお、日本人の投資家としての特性は以下になります。

(1)ブランド志向

日本人は、提供されるサービスに対する要求が非常に高い。内容、商品よりも見せ方や、接客態度を重視すると思います。不動産投資の商品も、内容よりも、商品提供する人間の信頼度や販売会社のブランドなどの見え方が大事なのではと感じます。

例えば、不動産投資という商品を、大手有名企業の紳士な営業マンが親切に用意してくれると過信しています。つまり、テレビCMに出ているような大手の会社名やブランド名に弱く、有名ならば安心と考えてしまいます。

(2)「みんなに乗り遅れたくない」志向

前述の通り、日本には不動産投資に関する教育システムや仕組みがないのが現状です。知識がないことさえも知らないのです。不動産業者のセミナーでメリットだけ聞いて、希少性の高い商品は早い者勝ちといって煽られ、周りの人が申し込めば自分もと、申し込む傾向があると思います。「赤信号みんなで渡れば怖くない」といったノリで不動産投資はやってはダメです。

2.不動産や金融の専門家はいるのか?

国内の専門家として、法律は弁護士、税金は税理士とありますが、金融資産や不動産について、特に不動産投資に限って言えば、専門家らしい資格が見当たりません。私は信頼される専門家となるために、検討した結果、国家資格として『不動産鑑定士』、『宅地建物取引士』、『AFP』を選びました。そして金融業と不動産業に27年の現場を経験したうえで、大家業、リノベーション、不動産再販業、大家業の必要性と感じたものはすべて経験してきました。

3.銀行の考え方を知る

銀行は、経済活動の発展のために企業の事業に対して融資をするのですが、それには経営理念としての原則があります。公共性、健全性、収益性、成長性、流動性の銀行理念5原則です。具体的には、『公共性』とは、事業の資金使途が、社会にとって有益なのかという基準です。『健全性』とは、収益性と返済能力が健全かという基準。『収益性』とは銀行の金利収益は確保されているかという基準。『成長性』とはその事業が業界内で発展する強みなどは、というマーケット分析の基準、『流動性』とは、その事業や担保が換金しやすいかどうか、という基準です。

不動産投資においてみれば、次の通りです。

『公共性』については、住居の供給という意義のある事業であることが大事であり、「個人的な投機」であっては許されないのです。『健全性』とは、純賃料とローン返済の比率が安全性です。50%以内を目指し、80%超は危険です。『収益性』とは、貸出金利なので、事業リスクに応じた金利を求められるわけです。『成長性』については、対象不動産の立地条件や、構造やデザインなど、競合他社や業界内での強みがあるのか、という基準。『流動性』とは、担保としての対象不動産が換金処分してお金になりやすいかどうかという基準です。

4.不動産を知る

(1)日本の不動産は魅力的?

日本の不動産は、法律上、外国人でも自由に購入が許されます。これは、アジアにおいて、少ない部類に属します。また、世界の主要都市における不動産市場を見ると、『香港のマンション価格は東京の2倍』という日経記事も出ていたくらいで、東京の不動産は相対的に安いとされています。つまり世界が欲しがる不動産として魅力的なのです。

(2)不動産投資の持つ3つの側面

不動産投資には、「相続対策」、「金融商品」、「不動産賃貸業」としての側面があります。しかし、「不動産賃貸事業」であると認識し覚悟している人だけが事業に成功します。

理由は、次の通りです。

不動産投資は結局のところ、不動産賃貸業であり、人の生命の安全や人生の場を提供する事業です。そして、管理会社に丸なげしていては、入居者や建物に何が起きているのか理解できません。管理会社になめられてずさんな管理をされるリスクがあるのです。いい業者に当たるかどうかは、何の保証もない。

これは、高金利の税金をテクニック的に減らす「相続対策」でも、一定の配当を約束された「金融商品」でもないのです。

つまり、不動産賃貸という事業であると覚悟すべきなのです。