不動産ドクター洲浜塾(5):不動産投資(不動産賃貸事業)とは何か、そのおさえるべきポイント<その2>

地域で一番お客様から選ばれる不動産会社になるための学び

不動産ドクター洲浜拓志の『洲浜塾』

≪洲浜塾第5回≫

-分かっているようで、分かっていない方が多数!-

不動産投資(不動産賃貸事業)とは何か、そのおさえるべきポイント<その2>

5.不動産投資の唯一の指標を知る

(1)不動産投資の指標は、「表面利回り」ではなく、「キャッシュフロー」である

不動産投資の成否を判断するのに『キャッシュフロー』が最大の指標である。収益不動産において、家賃収入から経営上の費用を差し引いて純賃料が収入金額として決まる。物件の耐用年数や個人の属性によってローンの返済額が支出金額として決まる。この純賃料とローン返済額の差額が、不動産投資の指標『キャッシュフロー』である。

不動産投資(不動産賃貸事業)とは何か、 そのおさえるべきポイント

(2)投資不動産の(4×2=8)の区別けについて

投資不動産は、わかりやすくいうと(4×2=)8つの種類があります。  

  1. 新築/中古
  2. 区分所有1室/一棟
  3. 都心/地方
  4. 木造/RC

どれが優れるのかというのは一概に言えませんが、最終的には『キャシュフロー』に反映されるのです。どういうことかというと、次の通りです。

  1. 価格は中古のほうが安いが、ローンの組める期間はが短くなるので最終的キャッシュフローの判定は何とも言えない。
  2. 価格は区分所有が小さいので、フルローンで買いやすいが、キャッシュフローが薄くなってしまう。一棟は自己資金がなければ買えない。
  3. 地方の賃料は安いが価格が安いので買いやすい。都心は賃料も高く価格も高いが、市場性が高く、担保価値が高い。キャッシュフローは、地方は都心より収入少ないが、ローン負担も都心より軽くなる。
  4. 建築単価は木造がRCより安いのでローン返済額が少なくて済むが、耐用年数はRCより短く、ローン期間も短くなる。このため、ローン返済はRCのほうが期間が長い分、軽くなることになる。

(3)不動産投資の唯一の指標『キャッシュフォロー』をわかりやすく

国内不動産投資市場において、キャッシュフローの概念なども厳密にいうとまちまちで統一されていません。不動産鑑定士の私もDCF法など、専門的な手法を知っていますが、より分かりやすい指標を使ってご理解いただけるほうが得策と考えます。以下の指標が最もわかりやすいと思います。

【賃料】
実際の賃料
【経費】
固定資産税、都市計画税、修繕費、管理費、共用部の水光熱費、火災保険などです。減価償却費はキャッシュアウトを伴わない費用なので、無視してOKです。
【純賃料】
賃料から、経費を差し引いたものです。ローン金利は元利均等だと把握しにくいので省略します。
(年間純賃料)÷(年間のローン元利返済額)で30~50%以内が妥当。

目線として(年間ローン返済額)が、金利2%として想定し、(年間純賃料)の30~50%位以内に収まっていることが必要です。仮に金利4%でその範囲にあれば健全です。

また、(純賃料)-(ローン返済額)について毎月プラスであることが当然健全です。

(参考)

ワンルームのフルローンがダメな理由。

会社員への新築ワンルーム投資が問題となるのは、以下のような場合です。

<事例>
  • マンション価格2500万円、全額を借入(フルローン、金利2%、30年)
  • 家賃純賃料8万円、ローン返済9万円、毎月のCFマイナス1万円
  • (年間ローン返済額)÷(年間純賃料)=(9万×12月)÷(8万×12月)
  • =112%となり、完全にアウトです。

それでも、こんな融資が可能となるのは、年間純賃料に、サラリーマンの給料を合算して考えるから、銀行は融資するケースがあるのです。会社員を辞めて、不動産で不労所得を得たいなら、現金手取り収入に余裕がないとだめです。将来の資産形成という場合、ローン返済の終わった30年後や本人が死亡して保険金が出た場合に初めてプラスとなるのです。(但し、ローン返済途中で、マンション価格の販売価格が高騰すれば、売却してプラスとなって総決算でプラスとなる可能性もなくはないのですが)

6.不動産投資の成績について

(1)不動産投資の最終的な結果は、「入口、中間、出口」の総決算で決まる

<入り口>

不動産投資は、購入する入り口の段階で、いかに戦略的に資金調達計画を立てるかが重要となってきます。購入する時に、キャシュフローを楽にするために現金を投じます。ローンが多すぎると買うときは手元資金を温存できるのですが、保有期間中のローン返済がきつく、賃料の下落もあるので、だんだんキャッシュフローが薄くなっていまします。

<中間(保有期間)>

保有期間の不動産事業の賃料収入をインカムゲインといいます。これは、最初に自己資金を多く投じるほど、キャッシュフローは増えます。

<出口>

一定期間保有したのちに、売却する場合を考えます。このとき、売却価格に対して、ローンがあといくら残っているかで、キャッシュが生まれます。これから販売仲介手数料や、譲渡による譲渡益が発生した場合の譲渡課税を引きます。する最終的なキャッシュの手残りが確定します。と売却する場合の手残りで回収できるのか。

最初の入り口で自己資金を使うほど、中間のインカムゲインや、出口(売却時)のキャッシュも多くなります。また、売却の時期は、タイミングを見て市況が有利な時に売却すればよいのです。急ぐ必要はありません。

(2)実例

事業収支の総決算についてご理解いただくため、私の不動産投資の例を挙げます。入り口から出口までの概算です。

(例)収支総決算の実例

<入り口>
  • 購入時、9000万円(土地価格5000万円、建物および諸経費4000万円)(資金調達は、自己資金1500万円、ローン7500万円(30年、3.5%))
  • 木造3階建て18室、2008年土地を購入し、翌年アパート1棟新築。
<保有期間>
  • 家賃収入4万円×18戸=72万円、諸費用8万円 ▲ローン返済34万円
    =キャッシュフロー30万円(金利3.5%)
  • 純賃料72万円―8万円=64万円▲ローン返済34万円
    →返済比率53%(金利2%なら43%)
  • 今回保有期間 実質約7年×12月×30万円=2520万円
<出口>
売却価格
9000万円
売却時の簿価
7500万円(利益1500万円)
売却時
売却価格9000万円ーローン残債6300万円-仲介手数料300万円ー譲渡課税(長期譲渡の場合の税率20%)300万円=2100万円
<まとめ>

使った自己資金1500万円が、(保有期間のキャッシュ2520万円+売却時のキャシュ2100万円=)4620万円となった。(つまり自己投資額1500万円×3.08倍)

(解説)

<入り口>

購入時、自己資金1500万円を投じています(自己資金1500万÷総額9000万円=自己資金比率17%)。

<保有期間>

家賃収入が実質7年間として2520万円です。

<出口>

売れる価格が、購入時と同じ金額でした。周りの市況が良いので買い手がついたということかと思います。ローンの残債の差額がまず現金として入ります。これに売却仲介手数料を支払います。さらに、売却益(売却9000万円ー簿価7500万円=1500万円)に対して、保有期間5年以上の長期譲渡課税率20%を乗じて約300万円。出口の際のキャッシュインは、2100万円でした。

<まとめ>

入り口で自己資金1500万円を投じたことによって、中間保有と出口の総決算で3倍にになって戻ってきたことになります。これは、売却した際の手残りのシミュレーションを常にしておいて、タイミングを見て売却を図りました。

7.まとめ

日本人の特徴として、不動産リテラシーが低く、教えてもらう教育システムがありません。お金と不動産の専門家も整備されていません。しかしながら、日本の不動産は国際的にみても魅力があり、昨今の相続税対策の過熱の影響もあって、需要が活発です。銀行も、日銀のゼロ金利政策のプレッシャーで、企業ではなく不動産業に多く融資してきました。そしてこのような経済政策の結果、もう、銀行の積極姿勢が終わるのは時間の問題です。

でも大丈夫です、安心してください。

どんなに市況が変化しようが、不動産投資の唯一の指標は「キャッシュフロー」です。そしてその事業の最終的な結果は、購入から売却までの収支の総合計で測ることができます。

このような市場に左右されない、基本をしっかり押さえることによって、『不動産投資』を個人の金目当ての『不動産投機』ではなく、地に足の着いた公共性のある『不動産事業』として維持発展できるよう、その一助となりたいと願っています。