核燃料サイクルの今

原子力発電では、原子力発電所で使い終えた燃料(使用済燃料)の再利用について、さまざまな検討が重ねられてきました。今回のコラムでは、使用済燃料の再利用は今どのように進められているのか、最新動向を解説します。

1.核燃料サイクルとは

原子力発電で使い終えた燃料(使用済燃料)をもう一度使うことができれば、資源の有効利用に役立つのはもちろん、高レベル放射性廃棄物の量を減らしたり、その有害さの度合いを低くするといったことにも役立ちます。

こうした理由から、資源の少ない日本では、使用済燃料の中からウランやプルトニウムといった燃料として再利用可能な物質を取り出し(再処理)、この取り出した物質を混ぜ合わせて「MOX燃料」と呼ばれる燃料に加工して、もう一度発電に利用するという取り組みを行っています。これを「核燃料サイクル」といいます。

日本では、エネルギーに関する政策の方向性を示した「エネルギー基本計画」で、この核燃料サイクルの推進を基本的方針と位置づけています。

核燃料サイクル(軽水炉サイクル)のイメージ

  • ※青森県六ヶ所村に立地、安全審査中。

2.再処理などの実施体制の整備

この使用済燃料の再処理などにかかる費用は、これまで電力会社などによる積み立て金で確保されていましたが、電力事業をめぐる環境は電力自由化などの影響で大きな変化を迎えており、使用済燃料の再処理などを着実に行っていくための体制づくりが必要と考えられました。

そこで、2016年5月11日、再処理などにかかる資金は電力会社などから「拠出金」のかたちで集めること、その資金の管理・運用と再処理などの実施に責任をもつ新しい組織をつくることを定めた、「再処理等拠出金法」が成立しました。新しい組織は認可法人「使用済燃料再処理機構」として、同年10月3日、青森県青森市に設立されました。

  • ※再処理などは日本原燃株式会社が青森県六ヶ所村の施設で行います。

3.安全を確保した事業費

使用済燃料再処理機構の役割のひとつは、拠出金単価を計算し決定することです。そこで、計算する時のベースとなる、再処理などにかかる事業費について、金融や法律、会計などさまざまな分野の外部有識者などが加わる運営委員会で議論を行い、それを踏まえつつ内容を詳しくチェックしました。その際、重視したのは、「安全性」、「適切性」、「事業継続性」というポイントです。

その結果、再処理関係事業費は、これまでの約12.6兆円から約1.3兆円増え、約13.9兆円になりました。また、MOX燃料加工事業費は、約2.3兆円となりました。このように、費用が増えたのは、安全対策をより一層充実させるために必要な費用などを織り込んだためです。2013年から、原子力施設には新しい規制基準が定められ、その基準に対応することが求められていますが、そのために必要となる施設の耐震補強や、配管の補強などの工事費用などがそれにあたります。また、規制基準にとどまらない、さらなる安全向上対策を自主的に実施するために必要となる設備投資費用なども織り込まれています。

使用済燃料再処理機構の設立で、再処理などの事業について、国が一定の関与を行い、事業全体のガバナンスを強化する体制が整いました。安全を最優先に、貴重なエネルギーを有効に利用するために、核燃料サイクルを着実に行っていきます。

出典
「核燃料サイクルの今」(資源エネルギー庁)(http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kakucycle.html)を加工して作成

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